ニッコールクラブ会員展 米戸 忠史「Monochrome Scene」インタビュー
会場:ニコンプラザ大阪 THE GALLERY
会期:2024年4月25日(木)~2024年5月9日(木)
日曜休館、5月3日(金)~5月6日(月)休館
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
ニコンプラザ大阪のTHE GALLERYにて、ニッコールクラブ会員の米戸忠史さんが写真展を開催しています。米戸忠史さんに、今回の写真展についてお話を伺いました。
今回の写真展について教えてください。 |
今回の作品はすべて、家族で行った海外旅行で撮影した写真です。家族と各地を巡りながら、時間の隙間で撮ったので一期一会の出会いだけを求めてシャッターを切りました。
家族はわたしの趣味を理解してくれているので、「次の信号で待っていて」とか、バスに乗ってもバスの中から撮影をしたり。ファインダーごしに景色を見ていることの方が多いくらいです。家族が買い物をしている間に別行動をして旧市街地に行くなど……今は海外にいても携帯電話で連絡をとることができるので便利です。
家族とは写真を見て一緒に思い出を振り返りながら話したりしますが、「こんなところあった?」と聞かれることもありましたね。
撮影地はどんなところですか? |
海外は、皆さんがよく行かれるようなヨーロッパ、アメリカ、エジプト、北欧などに行きました。今回の写真はおよそ30年かけて撮影したもので、1番古いものは30年前、一番最近で2、3年前の写真になると思います。
機材は何を使われていますか? |
フィルムカメラはニコンのF2チタン、F3P、F5、デジタルカメラはD850です。レンズは24mm、28mm、35mmを使用しています。
フィルムはモノクロフィルムで1日10本、7日間の旅行なら70本になります。さらに予備で10本持って行くのですが、価格高騰で旅行費用と変わらなくなってしまいますね。少しでも安く抑えようと工夫はしていますが。
用紙はイルフォードのバラ板印画紙を自然乾燥してドライマウントしています。丁寧に丁寧にやらなければいけません。印画紙を使って1番難しいのはフラットニングしていくまでの工程です。中厚のバラ板を自然乾燥させるのがスタンダードで、洗濯ばさみで干して平らにします。劣化してくるので長く保存するには自然乾燥がいいと思います。
今回の作品は現像からプリントまですべて自分でやりました。サイズは11インチ×14インチの大四つ切りです。
作品のレイアウトについてお話を聞かせてください。 |
レイアウトはひとつの物語を作るようなことはないのですが、何枚もの作品が見えるというよりは、ひとつひとつの作品ごとに見ていただきたかったので枚数を35枚とやや少なくしました。また、並べる時には極端に違う印象の作品は並べないように気を遣っています。
制作で苦労したことはありますか? |
古い写真から新しい写真まであるので、プリントの色味を揃えるのが難しかったですね。時代によって自分自身の感覚も違うので、昔焼いたプリントが今見たら意外に明る過ぎたり暗過ぎたり、今の感覚で焼き直さないといけないので大変でした。
ネガも露光量の違いやフィルム現像液の種類によって多少違います。現像時間、フィルム自体の銘柄も大違いです。同じメーカーのフィルムでも、時代を経て異なる性格のフィルムになっていることもあります。昔あったコントラストがなくなって、滑らかな印象になっていたりしましたね。
写真展開催のきっかけについて教えてください。 |
フィルムからデジタルへ時代が変わっていく中で、自分の気になったものを撮り続けてきましたが、フィルム期のひとつの区切りだと考えています。次の海外旅行からは本格的にデジタルカメラのみを持って行く予定です。
ニコンプラザ THE GALLERYで個展をするのは目標にしていることなので、こうして開催することができて嬉しいですね。プロの写真家の方に作品を見ていただいて認められたということがとても嬉しいです。
これからの目標はありますか? |
次はデジタルカメラで撮ったもので個展を開催できたらいいなと思っています。今まで撮った本を写真集にしてはというアドバイスもいただいているので、構想を練っているところです。
写真を楽しむ皆さんに一言お願いします。 |
写真は誰にでも撮れて、まわりの人と一緒に楽しめるとてもいい趣味だと思います。それに、カメラを趣味にしている人はよく歩くので元気ですよね。今のカメラはとても優秀なので、写真を撮ることだけに集中できて誰でも楽しめると思います。
今はスマートフォンで写真を撮る人も多いですが、もう少し踏み込んだ世界、カメラで撮ることに挑戦するのはいいことだと思います。