ニッコールクラブ会員展 藤﨑 優子「掌」インタビュー
会場:ニコンプラザ東京 THE GALLERY
会期:2024年12月24日(火)~2025年1月13日(月) 日曜休館、12月28日~1月5日 休館
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
ニッコールフォトコンテストの入賞や写真雑誌への掲載など、さまざまなところで活躍されている藤﨑 優子さん。本格的に写真を始めて14年目となる今冬、初の写真展を開催されます。そんな藤﨑さんにお話を伺いました。
今回の写真展について教えてください。 |
きっかけというか、思いとしては「農業女子を写真の力で応援したい」というものがありました。写真の力って本当にすごくて、いい写真を撮って差し上げた時に、その人に自信を与えられるものだと思っています。
何度も繰り返し撮っているとどんどん輝いていく人がいて、農業女子のブランディングの一環として、写真の力を活用したいと思いました。農業というと、3K……「きつい・汚い・危険」というイメージがありますが、その印象を払拭し、彼女たち本来の屈託のない笑顔や明るさ、素直な表情などを写すことでイメージアップできればと撮影しています。
プリントの時にこだわったことはありますか? |
今回の写真展のために、大判印刷が可能なプリンターを自前で購入し、A2サイズまではすべて自宅でプリントをしました。プロラボにお願いすることもありますが、自分のイメージに忠実に仕上げたいという思いがあり、プリントしたものを並べて、前後の色味が違ったら刷り直し……プリントだけで1ヶ月もかけてしまいました(笑)。
用紙はいろいろなものを試しましたが、ピクトリコのファインアートラフという、マットでややキャンパス地のアート紙を採用して風合いを出しています。
被写体になった方々の反応はいかがでしたか? |
皆さんとても喜んでくださいました。撮影の際には50名ほどの方が写っているのですが、写真展を開催するにあたり、肖像権があるので全員に連絡をしました。「東京で個展を開くんですが……」と伝えると、全員が快諾してくれて嬉しかったです。
藤﨑さんが写真を始めたきっかけを教えてください。 |
写真を本格的に始めたのは2010年頃からです。もともとは鹿児島出身なのですが、主人の転勤で滋賀に引っ越しをしました。転勤生活が続くと聞いていたので一旦は仕事を辞めて、自分の時間ができたんです。そこで、両親や友達に元気にしているのを伝える目的で、ブログを立ち上げました。犬を飼っているので、持っているコンパクトデジタルカメラで撮影した写真を載せる愛犬ブログです。
ブログを介して愛犬家仲間ができるのですが、他のブログを見ていると写真のクオリティがとても高くて。どうしてかと質問したら、「一眼レフカメラで撮っているからだよ」を言われました。そこで、すぐにわたしもカメラを買ったのですが使い方がわからず、製品に入っていたニコンカレッジの案内を見て翌日には申し込みをしました。
それから2年間ほど、ニコンカレッジに通って写真を勉強しました。受講を始めるタイミングが一緒だった女の子達がいたので、みんなで切磋琢磨して成長できたのではないかなと思います。
その間にじょじょにレンズやカメラも増えていきましたね。それまでは洋服やジュエリーにお金を遣っていたのですが、いまではすっかりカメラです(笑)。
愛犬だけに留まらず、いろんなものを写すようになりました。
ニッコールフォトコンテストに応募するきっかけは何でしたか? |
京都に転居した頃、ニッコールクラブみやこ支部の荒井俊明さんにお会いして、ニッコールフォトコンテストの表彰式についてお話を伺ったんです。写真を愛する方々が一堂に会する場所だと聞いて、受かるはずがないと思いながらもわたしも応募をしてみました。そうしたら特選をいただいて、思わず「えーっ!」と(笑)。
その後も新潟、富山と転居は続くのですが、そんな中で荒井さんと出会えたのは、神様の思し召しですね。
THE GALLERYの審査に応募した経緯を教えてください。 |
支部キャラバン(ニッコールクラブ支部特典。ニッコールクラブ アドバイザーが支部に赴き、直接指導します)で、シニア・アドバイザーの大西みつぐ先生に写真を褒めていただいたんです。その後も、「写真展をやりなさい」とことあるごとに後押しをしていただいて、大尊敬している大西先生に言われたのが挑戦するきっかけです。
ニッコールクラブのモデル撮影会では、少し遠慮してしまって引いて撮影していました。そんな時、大西先生に「あなたには人をしっかり撮れる可能性があるから、もっと真正面から撮りなさい」と言われました。迷った時はいつも方向を示してくださって、農業女子も最初はなんとなく撮っていたのですが、「それをテーマにしなさい」とアドバイスをいただきました。
次の目標はありますか? |
目の前の写真展でいっぱいいっぱいであまり考えていませんが、まずは今回の写真展で展示したものを、モデルになっていただいた方々に見ていただきたいので京都、富山、鹿児島でも巡回展を開きたいと考えています。京都、鹿児島についてはすでに友達が企画してくれていて、開催する予定です。写真集の制作も検討してみたいと思っています。
また、昨年の秋に「富山農業女子100人プロジェクト」というものを立ち上げました。自分でチラシを作り、SNSで呼びかけて……少しずつ応募や、そこからの紹介もあってちょうど100人を達成しました。この取り組みも少し形を変えて続けていきたいと思っています。
写真展を目指す方へ一言、メッセージをお願いします。 |
今回、審査を通ったのはニッコールクラブ支部の仲間達のサポートと、アドバイザーの指導があったからというのは大きいです。特に支部の皆さんには大変感謝しています。転居が多いと、地域によって写真文化が違うことも実感しますし、写真展に行く機会が減ってしまうこともありました。そんな中、みやこ支部の荒井さんが声をかけてくれたり、支部の皆さんが作品を見せてくださったりしました。大変レベルが高く、参加する度に刺激をいただき、たくさんのアドバイスもいただきました。そうした人との関わりもあって、今回の写真展に漕ぎ着けたのではないかと思います。展示のレイアウトが完了したのを見た時には、感無量で泣けましたね。
自分の目だけではなく、人に見ていただいて素直にご意見を受け止めるのも、大事なことだと思います。