PHOTO HUB by nikkor club

会報誌・読みもの

会報277号フォトコンテスト

ニッコールクラブ会報誌上で、会員限定のフォトコンテストを開催しています。上位入賞作品をご覧ください。

サロン・ド・ニッコール モノクロームの部 1席

「家族の旅」阪口誠紀(静岡)

撮影機種:D750 レンズ:AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR

選評:ニッコールクラブ シニア・アドバイザー ハナブサ・リュウ

単写真の力は、この一枚ですべてを語る、という潔さだと思います。静岡の三保海岸で撮られたこの作品からは、誰しもが想う共有できることの多くの確かさを感じます。やや低いアングルにより、デコボコした石の多い海岸がより強調されています。車いすの走行が困難な様子が伺え、写っている家族の強い絆もしっかり伝わります。左上に寄った富士山、切り詰めた空、右に傾いた地平線など、やや不安定な画面作りが功を奏しています。

サロン・ド・ニッコール カラーの部 1席

「早くちょうだい」山中祥三朗(大阪/阪神支部)

撮影機種:D850 レンズ:AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-200mm F2.8G( IF)

選評:ニッコールクラブ シニア・アドバイザー 大西みつぐ

馬はとても感情豊かな動物で、その表情やしぐさから伝わるものがあります。このシーンは怒っているのではなく、食べたいがために焦っているような状況。「手綱」の規制もあるのでなおさら。タイトル通りの迫力を感じます。馬体を想像させるが如く綺麗な白い毛が後ろに見えて、その質感もありこちらに走ってきそうな勢いも感じ、動きの一瞬がよく写し止められています。可愛い人参の入れ方も効果的です。

ネイチャー・フォトサロン 1席

「雨上がり」吉川皓三(奈良/奈良秋篠支部)

撮影機種:D500 レンズ:AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

選評:ニッコールクラブ アドバイザー 三好和義

鹿との距離感がいいですね。若い雄鹿と一緒にモグモグと葉を食べているような気分になります。パッと散った雨粒がシャ―プに写っていて、それが今まで見たことのないような世界をつくり出しています。画面が斜めになっている点も臨場感がありますし、生えたての袋角の産毛の描写も秀逸。鹿たちと気持ちを合わせられる吉川さんだから辿りついた、素敵な世界です。

ステップアップ・フォトサロン 特選

「一直線に」伊藤慎二(北海道/札幌中央支部)

撮影機種:Z8 レンズ:NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

選評:ニッコールクラブ アドバイザー 秋山華子

冬の美瑛に広がる青空と木々が寄り添う雪景色。そこに対角を意識して飛行機雲を入れたことで、まるで飛行機雲が空を貫いているかのようなダイナミックさを作品に落とし込んでいます。シンプルな構図でまとめたことにより、自然の息吹と人の営みが交錯する瞬間が感じられ、青空と飛行機雲のコントラストが清々しい美しさを放っています。

ステップアップ・フォトサロン 特選

「朝霜」荒木博昭(富山)

撮影機種:F4 レンズ:60mmマイクロレンズ

選評:ニッコールクラブ アドバイザー 秋山華子

朝霜を纏った一輪の花をクローズアップで撮影し、氷菓子のような繊細さが浮かび上がりました。さらに、青みがかった色調と落ち着きのある明るさでまとめたことで、日が上りきる前でないと見られない、幻想的な一瞬の美しさが引き立てられています。背景の葉も、輪郭に霜が降りていることがわかる程度にボケ味を生かして、一面に朝霜を纏ったシーンが広がっていることを想像できますね。

ステップアップ・フォトサロン 特選

「今日は雨」佐古田清一(岡山/倉敷支部)

撮影機種:Z7 レンズ:AF-Sニッコール70-200mm + マウントアダプター

選評:ニッコールクラブ アドバイザー 秋山華子

ビニール傘の透明部分から見える少女の視線の方向を空けており、遠くを見つめるその先にある景色に想像が膨らみます。また、傘の一部分をフレーミングしつつ、ピント位置を水滴に合わせたことで、物思いに耽るようなあどけない表情が引き立ちました。傘の色合いと背景の黄色いボケ味、そしてピンクの服といった色味からも、春の雨のやわらかな雰囲気が醸し出されています。

いいね